公然の秘密
もう迷いもなければ、躊躇いもなかった。

先ほどの出来事を目の当たりにしたことや弘人の本性を見たこともあるかも知れない。

柚愛は尾関の顔をじっと見つめ返すと、
「ーーはい…！」
と、返事をした。

その返事に尾関は笑うと、
「ありがとう、柚愛…！」
と、言って柚愛を抱きしめた。

（温かい…）

抱きしめられた柚愛は彼の温もりを受け入れるように背中に両手を回した。

「俺、絶対にあんたのことを大事にする…！

柚愛が望むならば、子供を１０人だって産んでやるから…」

「尾関さん、子供を産むのは私です。

１０人はさすがに多いですし、いろいろな意味で身が持たないです」

そうツッコミを入れた柚愛に、
「す、すまん…よくよく考えたらそうだし、例えにしても何にしてもちょっと言い過ぎた…」

尾関は叱られた子供のようにシュンとなっていた。
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