公然の秘密
更衣室に入って着替えを済ませると、柚愛は尾関に連絡をした。

「大丈夫か?

あいつに何か変なことをされなかったか?」

先ほどの出来事を聞かされた尾関はそう聞いてきた。

「と言うか、もう少しいりゃよかったな…。

そしたら俺があいつを撃退したのに…。

いや、そもそも柚愛が中に入ったらすぐに帰ればよかったんだ…」

柚愛が弘人と鉢あわせてしまったのは自分の責任だと言うように、尾関はブツブツとそんなことを呟いていた。

「尾関さん、大丈夫ですから。

警察を呼ぶとかストーカーで訴えると言ったら、すぐにどっかへ行きましたから。

でも…」

「仕事終わりにまた狙われる可能性があるな」

尾関は返事をすると、
「わかった」
と、言った。
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