公然の秘密
スーパーマーケットで買い物を済ませると、自宅へと帰った。

「普段はこんなんじゃないんだけどな」

エコバックから買ったものを冷蔵庫に入れながら尾関は苦笑いをした。

「知ってますよ、買い物してたところを見たことがありましたから」

そんな彼に向かって柚愛は返事をした。

「よし、こんなところかな」

尾関はパタンと冷蔵庫のドアを閉めた。

「尾関さん、普段から料理をされているんですか？」

「あのさ」

そう聞いた柚愛に尾関は話を切り出すと、
「その“尾関さん”って俺のことを呼ぶのもうやめない？」
と、言った。

「えっと…」

どうしてそんなことを言われたのかわからなかった。

「柚愛の夫になるんだし、夫のことを“尾関さん”って言うのはないんじゃないかと思うんだ」

尾関は言った。
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