公然の秘密
(今思うと、何であんなにも嫌そうだったんだろう?)

振り返ってみると、弘人は自分の両親や家族の話題に触れることを嫌がっていた。

そう言うのを嫌がる人だと言えばそれまでだが、彼は話をしなかったうえに特に嫌がっていたような気がする。

「…ま、いっか」

弘人との関係はもう終わったことだし…と、柚愛は思った。

もう終わった相手のことを考えても仕方がないことだ。

「実家へ持って行くお菓子、私も一緒に選んだ方がいいかな」

風呂から出たら尾関に聞いてみようかと思いながら、柚愛はスマートフォンに手を伸ばした。

「何かよさそうなものを調べてみようかな」

流行りのお菓子も知りたいと思いながら、指でスマートフォンをタップした。
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