公然の秘密
「は、はあ…」

説明を受けている店長は何とも言えない顔をしていた。

尾関は息を吐くと、
「すみません、今日のところは引きあげていいですか?

彼女も顔色が悪いみたいですし」
と、言った。

「は、はい…」

店長が返事をしたのを確認すると、
「行くぞ、柚愛」

尾関に支えられながら、柚愛はその場を後にした。

連れられるようにして自宅に帰ると、
「大丈夫か?」

自分をソファーに座らせると、尾関が声をかけてきた。

そのとたんに、柚愛の目から涙がこぼれ落ちた。

「あんなひどいことをされたから当然だよな…」

尾関は柚愛を抱きしめると、ポンポンと背中を優しくたたいた。

「気が済むまで泣いていいから」

そう言った尾関の言葉に甘えるように柚愛は彼の胸に顔を埋めた。
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