公然の秘密
その日の夜、会社を出た弘人はコンビニで夕飯を買うと自宅へと向かっていた。

「ざまぁみろってんだ、バーカ」

青い顔をしていた柚愛と怒り狂っていた尾関の顔を思い出した弘人はバカにするように呟いて笑った。

「俺に逆らうからこうなるんだよ、あのバカ男が。

俺と別れるからこんな目にあったんだよ、あのクソビッチ」

勝ち誇ったように笑いながら鼻歌を歌っていたら、
「ーーおい」
と、後ろから声をかけられた。

その声に振り返ると、顔面に衝撃を感じた。

「ーーッ…！？」

それまで手に持っていたカバンとエコバックが離れて、弘人はその場に崩れ落ちた。

「ーーなっ…あっ…！？」

鼻から生暖かい液体が流れたのを感じたので確認すると、血だった。
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