公然の秘密
金属バットの覆面は逆らうなと言わんばかりに弘人を痛めつけた。

「よくもまあ、そんな開き直ったことが言えるな」

尾関は弘人を見下ろすと言った。

「今の今まで煮え切らない態度を取りまくってたくせに、いざ自分の元から彼女が離れたら逆ギレしたうえにこうして陰湿な危害をくわえたーーよく言うぜ」

尾関は息を吐いた。

「け、警察…」

「無駄だ」

弘人をさえぎるように尾関は言った。

「俺は警察とも繋がっているんだ。

お前がこのことを警察に通報したところですぐに事実は揉み消される、それどころか俺がお前を捕まえるように警察に依頼すればお前はあっと言う間に豚箱行きだ」

「ーーッ…」

自分を見下ろしている尾関に弘人は何も言い返すことができなかった。
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