公然の秘密
朝食を終えると、仕事があると言う尾関は自室の方へと向かった。

柚愛は朝食の後片付けと洗濯をした。

洗濯機を回している間に職場に電話をして退職することを伝えた。

店長は有給の日数と退職する時に必要なもの、職場にくる日時を柚愛に説明した。

「それではお待ちしています」

「お忙しい中、ありがとうございました」

柚愛はスマートフォンを耳から離すと、息を吐いた。

「退職か…」

遅かれ早かれ、いつかは退職することにはなったとは思うが…いざそれを目の前にしたら、ピンとこなかった。

気持ちがフワフワとしていてついて行くことができないと言った方が正しいかも知れない。

洗濯物をベランダに干していたら、
「昼飯はラーメンでいいか？」

尾関が顔を出して声をかけてきた。
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