お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
砂浜に転んで、慶さんが私の上に覆い被さって来た。
顔が急接近して、心臓がドキンと跳ねた。
「美鈴が誰のものでもなくてよかった」
唇が数センチと迫った。
私は目を閉じて緊張の一瞬を待った。
慶さんの唇は私の唇ではなく、おでこにチュッと触れた。
そして、私を抱き起こして、立ち上がった。
「また来ような、美鈴といっぱいデートしたい」
「もしかしてはじめからデートするつもりでしたか」
「バレた?」
「もう、慶さんったら子供みたいなんだから」
慶さんは私をじっと見つめた。
私は恥ずかしくなって俯いてしまった。
慶さんが好き、そんな気持ちが次第に大きくなっていくのを感じた。
俺は美鈴の唇に触れたかった。
でも、また拒絶されたら、流石の俺も立ち直れない。
それに、過去の未遂事件を俺が気にしていない事をきちんと美鈴に伝えてからと心に決めていた。
あの週刊誌の記者も気になる。
美鈴がパーティー会場で、具合が悪くなった時、あの週刊誌の記者の姿が目に入った。