お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
「そうか、親父も年だからな」

兄貴と連絡取るのは久しぶりだった。

兄貴は家出同然だったからだ。

「ちょっと兄貴に精神科医として相談があるんだ」

「お前、具合悪いのか?」

「俺じゃないよ」

「かみさんか」

「ああ」

「いつからだ」

「十五年前から……」

「そうか、中々精神科の病は難しいからな」

「美鈴が二十五歳の時、未遂だったが襲われそうになったんだ」

兄貴は黙って俺の話に耳を傾けていた。

「ずっと男性との付き合いから遠ざかっていたらしい、俺は美鈴と二十年振りに再会した時、事件のことは知らずにいた、初めて美鈴を抱きしめた時、思いっきり拒絶されて、俺は美鈴の過去に何があったのか調べて、事件のことを知ったんだ」

「おい、お前美鈴ちゃんと五歳の時会っていたのか?」

「ああ、俺は五歳の時から美鈴と結婚したいと思っていたんだ」

「結婚してから夫婦生活はどうなんだ」

「ずっと寝室は別だった」

「今もか」

「いや、昨夜はじめてベッドを共にした」

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