お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
「ごちそうさま」

美鈴の返事はない。

週刊誌の記事が掲載されて以来寝室も別だ。

美鈴の変化に気づいて、俺は愕然とした。

いつからだ、美鈴と会話していない。

そう言えば、「いってらっしゃい」も「お帰りなさい」も言ってもらっていない。

俺とした事が、なんたる失態だ。

俺は飯を食う時、美鈴に声をかけた。

「美鈴?今日は何か変わったことはなかったか?」

美鈴は首を縦に振っただけだった。

美鈴は俺と目を合わそうとしない。

どうしたと言うんだ、怒っているのか、それとも何か悩みがあるのか。

「美鈴、ごめん、俺は最近忙しくて美鈴に冷たくしてるよな、ごめんな」

美鈴は黙ったままだ。

もしかして、具合が悪いのか。

「美鈴、どこか具合でも悪いのか」

やはり、美鈴は黙ったままだ。

俺はどうしていいか分からず、兄貴に相談した。

「兄貴、美鈴の心が読めない、どうすればいいんだ」

「何があったんだ、ちゃんと説明しろ」

俺は最近の美鈴の言動を説明した。

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