The kiss of death!!〜イケメン悪魔5兄弟VS私!!〜
ヘンリーと別れて次に私の目の前に現れたのはバッカスだった。
「いた、咲良。ずっと探してた」
少しだけ不満そうにバッカスが私を見つめている。
普通の女なら「え?私をずっと探していたの?寂しかったってこと?やだ!可愛い」となっていてもおかしくない展開。
だが私はバッカスがそうではないことを知っているので何も思わない。
まさに残念な美形とは彼のことである。
「…お腹空いたの?」
「ああ。さすが咲良。何も言わなくてもわかってくれるんだな。やっぱり咲良はいいな」
いつもは無表情なバッカスが少しだけ顔を綻ばせる。
不覚にもそんなあまり見慣れないバッカスの笑顔にドキンッと心臓が跳ねた。
悔しい。
バッカスに乙女にされるなんて。