チューリップ~君に贈る花~

「君ね、もう少し真面目に話を聞いてはくれないか?

 いいかい―――」


「「これは重要なことなんだ」」


「でしょ?」


わざと男の言いそうな言葉を声に出して言ってみる。


思った通り、当たりだ。

この間から同じ話を何度も何度も聞きすぎて、男が何を言うのか、もはや聞かなくても想像がつくようになってきた。


得意げにニッと笑う俺とは対照的に、男の顔がまた一段と歪んだように見える。


< 3 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop