赤い華と呪いの言霊
「攻撃をする者は殺す。邪魔をする者も殺す」

ブツブツとそう言いながら、柘榴は再び明るい通りへと出る。多くの人が笑顔で道を行き交い、楽しそうにする中、柘榴は無表情で歩き始めた。

人を見ていても、柘榴の心は何も感じない。過去に柘榴の心が動いたのは一度だけだった。

『続いてのニュースです』

街中にある巨大なスクリーンが、最新のニュースを紹介していく。柘榴は何となく足を止めた。そして、次のニュースに目を見開くこととなる。

『昨日の午後六時頃、私立華宮学園高等科に通っていた赤羽美紅(あかばねみく)さんが学校の敷地内で亡くなっているのが見つかりました』

「………あかばね……みく…………」

柘榴の頭に満面の笑みを浮かべた少女の顔が浮かぶ。一度しか会っていないが、その少女のことを柘榴が忘れたことは一度たりともなかった。

今から約十年前、柘榴は霊能力者に見つかってしまい、殺されそうになった。間一髪のところで柘榴が勝利したものの、柘榴は大怪我を負ってしまったのだ。
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