赤い華と呪いの言霊
先生も見て見ぬふり。何故なら、いじめている生徒たちが理事長の孫だからだそう。

そしていじめに耐えられず、誰にも助けを求められず、美紅は学校の屋上から飛び降りて自ら命を絶った。アスファルトに咲いた花の姿に、何度も見てきたはずのこの光景に、柘榴は吐き気を何故か催す。

美紅の座っていた机の上には花が置かれ、茶番劇の咽び泣く声が教室に響く。いじめていた奴らは何も知らない、と言いたげな表情だ。

そして、いじめていた奴らが美紅が悪い男とつるんでいたなどとありもしない話をでっち上げていく。嘘はどんどん大きくなり、美紅は悪者にされていった。

「……許せない……」

真実を見終わった時、柘榴の体は怒りで震えていた。怒りと憎しみがいじめていた奴らに対して湧き上がり、美紅を救えなかったことに後悔する。

柘榴はあの映像の中で、いじめていた奴らの顔は全員覚えていた。あんな奴らの顔を忘れることなどないだろう。
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