言ってみたい言葉
 そんなこと考えてるうちに、着いちゃった、『喫茶マツカワ』。
「ふぅ・・・」
 深呼吸してから『喫茶マツカワ』のドアを開ける。
「いらっしゃいませ」
 マスターのいい声が店内に響く。
「あ・・・」
 もう来てる・・・。あの作家のおじさんがもう来てる・・・。開店してまだ5分なのに、もう来てる・・・。
「どうしたんですか?どうぞお入りください」
 ドアの前で立ち尽くしてる私の耳にマスターの優しい声が入って来る。
「あ、はい」
 どこに座ろう・・・。作家のおじさんは3つしかないテーブルの真ん中の席に陣取ってる。
 手前のテーブルに座っても、奥のテーブルに座っても絶対注文の声、作家のおじさんに聞かれちゃう。

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