言ってみたい言葉
「気にしないで下さい。どうぞ、こちらへ」
「はいはい。黙ってますよ。そうだ、僕はこっちの席に移動しようかな」
 作家のおじさんはテーブルに広げていたパソコンを持ってカウンターから一番離れてる入り口側のテーブルに移動した。
「キミはカウンター席へどうぞ」
 作家のおじさんにも促されて、何だか恥ずかしくなって来た。なんなんだろ、作家のおじさんのこの行動。しかも、確実に、私、顏覚えらてる。
「その人のことは気にしないで下さい。どうぞ。こちらへ」
 もう一度マスターに促された。
 仕方ない。とりあえず、カウンター席にすわるけど、今日はやめておこう。
「コーヒーとタマゴサンドでよろしいですか?」
あ、マスターにもいつもタマゴサンドしか食べない客だって、覚えられてる。恥ずかしい。恥ずかし過ぎる。
「マスター、そんな事言っちゃダメでしょ」
って、後ろから作家のおじさんの声がした。
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