旦那様は征服者~琉聖編~
「え?い、いえ…」
「でも、顔色悪いよ…?大丈夫?」
園田が小梢の様子を心配して話しかけてきた。
園田の手が頬に触れる。

ブーッブーッブーッ……
そこへ小梢のスマホが震え出した。
画面にはもちろん【琉聖】の文字。
「あ…ごめんね…つい……
電話、出た方がいいんじゃない?」
そこで手を引っ込めた園田。
「あ、はい…」

小梢は一度深呼吸をして電話に出た。
「もしもし」
『小梢!?』
「琉聖、ごめんね!仕事がなかなか終わらなくて、電話出れなかったの!ほんとに、ごめんね!」
『なんだ、そうだったの……』
「うん、ごめんね!」

『━━━━━って、言うと思う?この俺が!
益々、許せないね…!』

「ごめんなさい…」
『違うよ。小梢は悪くないよ。
悪いのは……そこの園田って言う上司だよね?
今昼休みなのに、小梢に仕事させて……
さぁ…どうしようか?
消えてもらおうか?それとも、小梢がそこ辞める?』
「え?お願い!そんなことやめて!」
『とりあえず、外出て来てよ!今、会社の前にいるから』
「え?あ、うん…わかった」
そこで通話を切った、小梢だった。

「小野さん?大丈夫?」
「え?あ、はい。じゃあ…私行きますね!」

会社のエントランスに出ると、高級車が止まっていた。
運転席から秋山が出てきて、後部座席を開けた。
琉聖が出てきて、小梢に向かって両手を広げた。

「小梢~おいで?」
駆けつけて来いと言う意味だろう。
恥ずかしい……
でもここで行かないと、きっと益々怒らせる。

小梢は少し駆け足で、琉聖の腕の中に飛び込んだ。
「フフ…嬉しい!小梢が俺の腕の中に飛び込んでくれた!」
「琉聖、ごめんね…」
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