旦那様は征服者~琉聖編~
琉聖がデスクの上にあった花瓶を、利郎に向かって投げた。
花瓶は利郎の顔の横スレスレで通りすぎ、床に落ち割れた。

「利郎くん、さぁ…頭の中をスッキリさせて、楽になろうか?」
シュッと折り畳みナイフを取り出し、利郎にゆっくり近づく茂和。
「あ…あ…す、すんません!!!」
「しーちゃん」
「んー?」
「もういいよ。やめてあげて」
「はぁーい」

茂和は、人を人と思っていないとこがある。
だから簡単に、それこそ消しゴムで消すみたいに人を殺すのだ。
そして茂和は、基本的に琉聖の言うことしか聞かない。

「じゃあ…しーちゃん、お願いね」
「わかった~」
茂和が社長室を出ようとすると、ちょうど秋山が入ってくる。
「琉聖様、失礼いたします。
あ…茂和さん!すみません。お話中でしたね」
「ううん、いいよ。何?急用?」
「小梢さんがいらしてます」
「え!?小梢!?」
ガバッと立ち上がる、琉聖。

「どうされますか?こちらにお連れしますか?
それとも━━━━━」
「行く!!俺が行く!!」
脇目も振らず、社長室を出ていく琉聖だった。

「可愛い~琉ちゃん!」
茂和がパタンと閉まったドアを、微笑ましく見ながら言ったのだった。

「小梢!!!」
「あ、琉聖!」
エレベーターで一階ロビーまで下りた琉聖。
エレベーターが開いた途端に、小梢の元に駆けつけた。
そして小梢を力強く抱き締めた。
「ごめんね、突然」
「ううん。嬉しい…小梢から会いに来てくれるなんて…!どうしたの?まだ仕事終わりじゃないよね?」
「ん?今日は昼から外勤だったの。そのまま直帰していいって言われたから、琉聖と帰れたらなぁって思って……
ここで、仕事終わるの待ってていい?」
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