旦那様は征服者～琉聖編～

琉聖の父親は国内トップの不動産会社会長で、琉聖は支店の社長として働いている。
会長の息子で何でも器用にこなしてしまう琉聖。
しかも容姿も整っている為どこに行っても、ちやほやされて生きていた。
だからなのか、琉聖には相手を思い通りに動かせる何かがある。

控え目で自分に自信がない小梢を、思い通りに動かすことなど簡単なのだ。

交際中も少しずつ、少しずつ小梢を縛っていく。
｢明日も会おう｣
｢あ、ごめんね…明日は円佳と会うの。だからまた今度…｣
｢どこに行くの？男もいる？｣
｢食事するだけだよ。二人で会うから、安心して？｣
｢ほんとに？｣
｢うん｣
｢じゃあ…友達と会った後でいいから、会いたい｣
｢え？でも…夜ご飯の後だから、遅くなるよ｣
｢だったら、俺のマンションに泊まればいいでしょ？｣
｢うん…｣
｢嫌？｣
鋭い目で小梢を見つめる琉聖。
｢え？そんなこと…ないよ｣
｢ん。じゃあ…終わったら、連絡ちょうだい｣

という風に━━━━━━

必ず、琉聖は“嫌？”と聞く。
その一言に小梢は、物凄い重みがあるように感じるのだ。
一度だけ“嫌”と答えたことがある。

｢ごめんね…今日は一人にして？｣
｢嫌？｣
｢うん…今日は｣
｢………なんで？｣
｢え？だ、だから、一人に━━━━━｣
｢ほんとに一人？男がいるんじゃないの？｣
と狼狽えだしたのだ。
｢そんなわけないよ！ほんとに一人だよ！
落ち着いて？琉聖！｣

｢やだ。俺が嫌なの！小梢と少しでも一緒にいたいの！｣
｢琉聖…｣
｢傍にいるだけでいいから。
一緒にいられたら、邪魔しないから！お願い！｣
と子どもの駄々っ子のように訴えたのだ。