旦那様は征服者~琉聖編~
「そろそろ、お開きにするか!」
「ですね!」

小梢もバッグを持ち立とうとする。
「……っと、危ない…!」
酔いが回りふらついた小梢を、園田が支えた。
「あ、すみません!」
「ううん。支えるから、一緒に出よう」
「え?だ、大丈夫で━━━━」
バッと離れようとして、またふらつく。

「……っぶなっ!」
園田に抱き締められた。
「え……あの…」
「大丈夫?」
「あの、大丈夫ですから…離して下さい…!」
園田の腕の中でもがく小梢。

「あっ、ごめん!」
「ほんとに大丈夫ですから。旦那さんに連絡しますので」
「あ、そうだよね…」
店の外に出て、スマホを取り出そうする小梢。

「小梢!」
「………え…?琉聖?」
「迎えに来たよ!」
「あ…琉聖……」
ゆっくり琉聖に近づき、服を握る小梢。
心なしか震えていた。
「ん?どうしたの?小梢?」
頭をポンポンと撫でながら言った。

「君が、小梢ちゃんの旦那?」
「は?君、勝手に小梢のこと軽々しく呼ばないでよ!
せっかくここまで我慢したのに、もう終わりだよ!」
「は?なんだよ!?」
「友達にも言われてたでしょ?
誠実に生きろって」
「え……?」
「人妻に手を出すなとも言われてたね」
「は?」
琉聖の言葉に、園田だけでなく小梢も驚愕する。

「なんで、お前そのこと知ってんだよ!?」
「ずーっと、聞いてたよ!横で!
君が、俺の小梢に“旦那ってどんな人?”って聞いてたのも“小梢ちゃんって呼んでいい?”って聞いてたのも“可愛い”って言ったことも……
ぜーんぶ!!」

「な…んで…?」
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