世界で一番大好きです。

何か冷たいものが降ってきたと思えば、雨だ。


雨は...やっぱりあんまり好きじゃない...。


如月君も、雨は嫌いって言ってたなぁ...。


その後どれだけの間雨に打たれ続けていたのだろう。


気づけば時計台の時計の針は7時30分を指していて、辺りは真っ暗だ。


暗いのは、怖いっ...。


もういやっ...何でこんな事にっ...



「...里菜っ...!?」



上から声がして、なんとか上を向けば、そこには心配そうに、驚いたような顔をしたくるみちゃんの姿があった。


もうこのまま、ずっと雨に打たれたい気分だったけど、私はくるみちゃんの手を取って家へと歩き出す。


くるみちゃんは私の家に着くまで何も聞いてこなかった。


彼女なりの優しさだ。



「家ここ?」


「っ...」



あ、あれ...声出ない...。


私は頷いて家に入ろうとした。
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