世界で一番大好きです。


翌朝。


俺はベッドの上でぼーっと天井を眺めていた。


昨日家に帰ったあとは、食事が喉を通らなくて、何も食べれなかった。


何も考えられないし、ふと頭に浮かぶのは、里菜の顔だけ。


忘れたいのに、無理だ...。


なかなか気分が晴れなくて、何となく散歩することにした。


気分転換...にはならなかったけど、少し心が落ち着いた。


というか、感情が死んだ。


もう何もかも、どうだっていい。


どうでもいい。


30分くらい外の空気を吸って、落ち着いたので、とりあえず家に帰ろうとした。



「きっ...如月、君っ...」



その声が、どれだけ小さかったことだろう。


でも確かに、俺には聞こえた。


アイツの声だけは、いつだって聞き取ってやる。


恐る恐る振り返れば、案の定。


息を切らした里菜がいた。
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