世界で一番大好きです。

凛々しい表情で俺をじっと見つめてくる里菜。


コイツは、どれだけ強いんだ...。


何を、言われるだろう...。


何を思って、俺の名前を呼んだんだ...。


俺はとっさに逃げてしまった。


いつもと同じ。


怖くなって、逃げる。


どうすればいいか分からなくなったら、逃げてしまう。


ちゃんと向き合わなきゃって思うのに、分からなくなる。



「ま、待ってお願いっ...!」



俺の袖をグイッと掴んで引っ張ってきた。


嘘だろ、もう追いついたのか...。


足速すぎだろ...。



「っ...き、きさら、ぎくんっ...」



なぜか突然泣き出す里菜。


はっ!?


何で泣くんだよ!?


戸惑う俺の気持ちなんか知らずに、里菜は次の瞬間、信じられない行動をとった。
< 65 / 92 >

この作品をシェア

pagetop