喧嘩最強男子の溺愛
教室に入り、有希を見つけると私は有希を廊下へ連れ出して、島田くんの事を聞いてみた。
「ねぇ、有希。島田郁人くんって、何者?」
「帆乃香、やっぱり島田のこと気になってるの?」
「そうじゃないよ。違うんだけどさ」
「私、一年の時同じクラスだったから島田のこと知ってるけど。島田はさ、結構人気あるんじゃないかな? しょっちゅう告白されてるっぽいよ」
「ふーん。確かに顔はかっこいいもんね。でもちょっと強引じゃない?」
「帆乃香にはそう見える? 島田は優しい人だと思うけどな」
「まぁ、遅刻しそうになった私を待っていてくれたりして、優しいところも確かにあるけど」
「昨日、島田と何か接点があったんだね?」
「昨日もそうだけどさ。今朝はね、郁人って呼べって言われた。やっぱり強引だよ」
それを聞いた有希は何かを考えているようで
「どうして面識のなかった帆乃香に対して島田が急にそんな態度を取るんだろう?」
そんな疑問を投げ掛けてきた。
昨日の出来事を有希に話した方がいいのかな。
どこから? 蒼汰くんから告白されたところから?
「あのね、有希。昨日話していないことがあって。島田くんのことなんだけど。聞いてくれる?」
「やっぱり昨日、島田と何かあったんだ」
「昨日の朝ね、電車を降りたときに南高の蒼汰くんって子に告白されて。私が告白されている所を島田くんに見られてね」
私は有希に昨日の朝の出来事を話し始めた。
蒼汰くんと駅で話していたら遅刻しそうになったこと。
学校に着いたら玄関で島田くんが待っていてくれたこと。
新しいクラスを見つけられずにいたら島田くんがクラスを教えてくれたこと。
教室まで島田くんと2人で走ったこと。
有希は私が話すことを頷きながら聞いてくれた。
「へー、そんなことがあったんだ。やっぱり帆乃香ってモテるよね」
「昨日の話はここまでで。今朝はね、蒼汰くんと電車の中で話してたの。そしたら島田くんに急に頭を叩かれてさ、電車降りるぞって言って手を掴まれて、そのまま電車降りて。学校までずっと隣を歩いてくるし」
「帆乃香、それってさ。島田が帆乃香に気があるように聞こえるけど?」
「そんなことないでしょ。私、島田くんと会うのも話したのも、昨日が初めてだよ」
話の途中で予鈴が鳴ってしまったから、
「放課後に島田の話と、その蒼汰くんのこと聞かせてよ」
そう有希に言われて、一旦解散した。