喧嘩最強男子の溺愛
「よし! 教室に帰るか。俺は帆乃香の言うことしか信じないから。で、あのクラスの女たちはどうする? 俺が黙らせるか?」
「ううん、大丈夫だよ。噂なんてすぐに消えるでしょ。郁人が側にいてくれるだけでいいの。それだけで心強いから」
「ん。分かったよ。でも聞くに堪えなくなったら俺、アイツらを黙らせるからな」
「うん、その時はよろしくお願いします」
それから2人で武道場を後にして、教室へと戻る時、
「そうは言っても教室に行くの、少し怖いな」
少しの不安を口にしたら、
「ん。大丈夫。俺がいるって言ってるでしょ」
そう言って郁人は私の手を握ってくれた。
郁人がとても優しいから、また勘違いしそうになる。
教室に着くと私の噂を聞いた有希が心配して駆け寄ってきてくれた。
でも、郁人が私の手を握ったままのそれを見て、
「帆乃香、心配したけど。なんか大丈夫そうだね。良かった」
有希は私と郁人の肩を叩き、私に聞こえないように郁人に何かを耳打ちした。
「島田、早く告っちゃいなよ。見てるこっちがじれったいわ」
それから数日は私と郁人の噂が皆の話題になっていたけれど、当の本人たちがいつも通りに生活して、いつも通り一緒に帰っているのを見て、噂もだんだんトーンダウンした。