そのサキュバスは夢を見る
彼の『お仕置き』の果て
…ギシリと音がする。
気付くとティト様が、ベッドに身体を横たえる私を抱き締めていた。
「ごめんね…ナンネにとても辛い思いをさせたよ…」
「…ティ…ト…さ……」
私の頭はぼんやりとして、声は枯れていた。
いつの間にか解かれたロープ。ティト様に抱きしめられているにも関わらず、私の腕は温もりを探しているのか、震えたまま彷徨っている。
「俺はここだよ…!ナンネのそばにいるよ!!ごめん…本当にごめん……!!」
彼は泣きそうな顔で謝ると、自分の口に水を含み、私に口づけて水を移した。
冷たい水が私の口の中を、喉を潤す。
私は無意識に口をぱくつかせていたらしく、ティト様は少量ずつ、次から次へ私の口に水を移していった。
「どこか無理をしている君に、素直になってほしくて…だからあんなことをして……。やりすぎたよ…ナンネは人間だったのに…知っていたのに……」
私を抱き締める彼は震えていた。
ティト様は泣いているの…?
何故…?
私はあなたの望みを叶えただけ…
私は上手く出来なかったの…?『サキュバスのナンネ』ともあろうものが……
「ティト様…お許し下さい……貴方にご満足いただけなかったのですね……どうか……」
私は彼に抱き締められたまま、泣き疲れて枯れていたはずの涙が止まらなくなった。
…ティト様の期待に沿うように出来なかった私…また、私は失敗をしてしまった…
「泣かないでナンネ…!そんなことないよ!!俺はナンネに俺が相手なんだって、心から感じてほしいんだ。いつも俺を喜ばせようとして無理しているから…」
「無理…?」
私が無理をしている…そんなことない…そんなこと、ない…はず……
「ナンネはとても頑張っているよ…!俺は嬉しいんだ!でも、俺といるときには無理はしないで…?」
私はなんとか笑えているだろうか?
何でもないことのように、これが当たり前のことのように…
「…私はサキュバスですもの、ティト様…大丈夫ですわ。逢瀬で相手の望む夢を見ていただくのが私の生きる意味です…。それなのにこんなに心配して頂いて…」
「ナンネ……」
ティト様は悲しげなまま私を見つめる。
「お優しいティト様が私を相手にしてくださって、私は冥利に尽きます…」
私はそのとき、願ってはいけない願いが芽生えてしまった。
『またティト様と過ごせたら』と…
ティト様は真剣な顔付きで私に言う。
「…ナンネ、もっと君が知りたいよ…また俺と会ってくれる…?」
私は言葉だけでも嬉しいと思ったらしく、彼の言葉に頷き、
「はい、喜んで…!」
涙を拭き、緩んだ顔で私はそう自然に返事をしていた。
気付くとティト様が、ベッドに身体を横たえる私を抱き締めていた。
「ごめんね…ナンネにとても辛い思いをさせたよ…」
「…ティ…ト…さ……」
私の頭はぼんやりとして、声は枯れていた。
いつの間にか解かれたロープ。ティト様に抱きしめられているにも関わらず、私の腕は温もりを探しているのか、震えたまま彷徨っている。
「俺はここだよ…!ナンネのそばにいるよ!!ごめん…本当にごめん……!!」
彼は泣きそうな顔で謝ると、自分の口に水を含み、私に口づけて水を移した。
冷たい水が私の口の中を、喉を潤す。
私は無意識に口をぱくつかせていたらしく、ティト様は少量ずつ、次から次へ私の口に水を移していった。
「どこか無理をしている君に、素直になってほしくて…だからあんなことをして……。やりすぎたよ…ナンネは人間だったのに…知っていたのに……」
私を抱き締める彼は震えていた。
ティト様は泣いているの…?
何故…?
私はあなたの望みを叶えただけ…
私は上手く出来なかったの…?『サキュバスのナンネ』ともあろうものが……
「ティト様…お許し下さい……貴方にご満足いただけなかったのですね……どうか……」
私は彼に抱き締められたまま、泣き疲れて枯れていたはずの涙が止まらなくなった。
…ティト様の期待に沿うように出来なかった私…また、私は失敗をしてしまった…
「泣かないでナンネ…!そんなことないよ!!俺はナンネに俺が相手なんだって、心から感じてほしいんだ。いつも俺を喜ばせようとして無理しているから…」
「無理…?」
私が無理をしている…そんなことない…そんなこと、ない…はず……
「ナンネはとても頑張っているよ…!俺は嬉しいんだ!でも、俺といるときには無理はしないで…?」
私はなんとか笑えているだろうか?
何でもないことのように、これが当たり前のことのように…
「…私はサキュバスですもの、ティト様…大丈夫ですわ。逢瀬で相手の望む夢を見ていただくのが私の生きる意味です…。それなのにこんなに心配して頂いて…」
「ナンネ……」
ティト様は悲しげなまま私を見つめる。
「お優しいティト様が私を相手にしてくださって、私は冥利に尽きます…」
私はそのとき、願ってはいけない願いが芽生えてしまった。
『またティト様と過ごせたら』と…
ティト様は真剣な顔付きで私に言う。
「…ナンネ、もっと君が知りたいよ…また俺と会ってくれる…?」
私は言葉だけでも嬉しいと思ったらしく、彼の言葉に頷き、
「はい、喜んで…!」
涙を拭き、緩んだ顔で私はそう自然に返事をしていた。