そのサキュバスは夢を見る
私には見えない悪魔
ダリアの店に行こうと決心をした私だったけれど、いつもの路地裏に入り込んですぐのことだった。
「っ…!!」
誰かに口を塞がれ、近くの廃墟に引きずり込まれた。
「…誰も来ねえな?くくっ…いい娘だ…!」
「あたしにも触らせてよ!…っああ、このコの顔の艶…!ゾクゾクする…!!」
人間の男性と猫の獣人の女性が、私の口を塞いだまま、上気した顔で私の服の上から身体や顔を撫で回す。
「!!」
「この娘はなかなかいい声をしてるんだ。お前にも聞かせてやるよ…!」
「早く早く…!」
塞がれていた私の口を解放する。
「っ、はあっ…や、やめてください…!!離して…!」
抵抗し、叫ぶ私。
けれどふたりで押さえつけられた私の身体はびくともしない。二人はニヤついたまま私の気持ちなどお構いなし。
「本当いい声…!早く、感じるこのコを見たいわ!!」
二人に服を乱暴にはだけられ、身体中を撫でられ、舌を這わされる。
「っやああ!!」
ザリザリと荒く、熱を帯びた彼女の舌に、私は堪らず声を上げる。
「この耳にビンビン響く声…!もっと聞かせてよ…!!たまんない…」
「くくっ、俺はこっちを。誰も来ないんだ、しっかり鳴けよ。」
私は胸の先をつまみあげられ、ぐりぐりといじめられ続ける。
「っあぁ、嫌ああ!!」
見知らぬ二人に無理やり身体を嬲られ、私は傷をえぐられたように胸が酷く痛んだ。
「もっともっと!」
「…押さえてやるからお前、舐めろ。楽しみにしてたろ?」
男性は座った私を後ろから羽交い締めにしたまま、女性に促す。
「楽しみ…!もう濡れてるじゃない…うふふ…」
女性がよつん這いのまま私の足を押さえ、中心部に舌を這わせようとした、その時だった。
「!?うわああ!!」
「っ、何…!?きゃあああ!」
叫んだ男性の視線に女性は振り返り、彼女も叫び声を上げる。
薄い霧。
前に私を苦しみから救ってくれたものに良く似ている。でも、
「あ、悪魔だ…!」
「何でっ、他国にしかいないはずの悪魔族が、何でここにいるのよ…!?」
霧を見て悪魔だという二人。それでも私には霧にしか見えない。
『…娘に触れるな…!』
どこからともなく、怒りを含んだ低く響く声が聞こえた。
「きゃあああ!!」
「っ、逃げるぞ…!!」
二人は一目散に逃げていった。
私は力が抜けて逃げ出すこともできずにいた。
涙が止まらず拭うこともできないまま、霧の行方を濡れたままの目で追うしかなかった。
「っ…!!」
いつかのときと同じように、霧が私を取り巻く。
穏やかで優しくて、悪魔の時や以前に霧に包まれた時のような、心地いい気がした。
「…。」
私は何故か抵抗することもなく霧に身を任せ、早鐘のように鳴っていた私の胸も、次第に穏やかに戻っていった。
「…この霧は、私を助けてくれたの…?あの声は悪魔なの…?どうして…」
二人には悪魔の姿に見えたという霧は、私の問いに応えようとはしない。
しかし気持ちが落ち着き、私の涙も乾いていった。
「助けてくれて、ありがとう…。」
私は霧にお礼を言う。
「…行くわ、ダリアのところへ…。行って、お願いするの…」
私は誰に言うともなくそう言うと、何とか立ち上がり、まだ震える手で服を直すと、消えるほど薄くなった霧の中をそっとあとにした。
「っ…!!」
誰かに口を塞がれ、近くの廃墟に引きずり込まれた。
「…誰も来ねえな?くくっ…いい娘だ…!」
「あたしにも触らせてよ!…っああ、このコの顔の艶…!ゾクゾクする…!!」
人間の男性と猫の獣人の女性が、私の口を塞いだまま、上気した顔で私の服の上から身体や顔を撫で回す。
「!!」
「この娘はなかなかいい声をしてるんだ。お前にも聞かせてやるよ…!」
「早く早く…!」
塞がれていた私の口を解放する。
「っ、はあっ…や、やめてください…!!離して…!」
抵抗し、叫ぶ私。
けれどふたりで押さえつけられた私の身体はびくともしない。二人はニヤついたまま私の気持ちなどお構いなし。
「本当いい声…!早く、感じるこのコを見たいわ!!」
二人に服を乱暴にはだけられ、身体中を撫でられ、舌を這わされる。
「っやああ!!」
ザリザリと荒く、熱を帯びた彼女の舌に、私は堪らず声を上げる。
「この耳にビンビン響く声…!もっと聞かせてよ…!!たまんない…」
「くくっ、俺はこっちを。誰も来ないんだ、しっかり鳴けよ。」
私は胸の先をつまみあげられ、ぐりぐりといじめられ続ける。
「っあぁ、嫌ああ!!」
見知らぬ二人に無理やり身体を嬲られ、私は傷をえぐられたように胸が酷く痛んだ。
「もっともっと!」
「…押さえてやるからお前、舐めろ。楽しみにしてたろ?」
男性は座った私を後ろから羽交い締めにしたまま、女性に促す。
「楽しみ…!もう濡れてるじゃない…うふふ…」
女性がよつん這いのまま私の足を押さえ、中心部に舌を這わせようとした、その時だった。
「!?うわああ!!」
「っ、何…!?きゃあああ!」
叫んだ男性の視線に女性は振り返り、彼女も叫び声を上げる。
薄い霧。
前に私を苦しみから救ってくれたものに良く似ている。でも、
「あ、悪魔だ…!」
「何でっ、他国にしかいないはずの悪魔族が、何でここにいるのよ…!?」
霧を見て悪魔だという二人。それでも私には霧にしか見えない。
『…娘に触れるな…!』
どこからともなく、怒りを含んだ低く響く声が聞こえた。
「きゃあああ!!」
「っ、逃げるぞ…!!」
二人は一目散に逃げていった。
私は力が抜けて逃げ出すこともできずにいた。
涙が止まらず拭うこともできないまま、霧の行方を濡れたままの目で追うしかなかった。
「っ…!!」
いつかのときと同じように、霧が私を取り巻く。
穏やかで優しくて、悪魔の時や以前に霧に包まれた時のような、心地いい気がした。
「…。」
私は何故か抵抗することもなく霧に身を任せ、早鐘のように鳴っていた私の胸も、次第に穏やかに戻っていった。
「…この霧は、私を助けてくれたの…?あの声は悪魔なの…?どうして…」
二人には悪魔の姿に見えたという霧は、私の問いに応えようとはしない。
しかし気持ちが落ち着き、私の涙も乾いていった。
「助けてくれて、ありがとう…。」
私は霧にお礼を言う。
「…行くわ、ダリアのところへ…。行って、お願いするの…」
私は誰に言うともなくそう言うと、何とか立ち上がり、まだ震える手で服を直すと、消えるほど薄くなった霧の中をそっとあとにした。