年上同期から恋人へのロード
【私の年上同期】

「ねぇ、牧瀬。今から出張で仮払いしたいんだ、急で悪いけどお願い」
精算伝票を持ってきたのは、年上だけど同期で営業部のホープと言われる秋月隼人25歳。

なんでも、大学卒業後、仕事で海外に滞在しているお父さんの所で過ごしたりして、1年就活遅らせたとか…
だから1歳年上だけど、私と同期入社になった。

背は180cmくらいだろうか、ふわっとした髪型と二重で爽やかさ漂う目元、女性から見ても肌が綺麗で整った顔立ち。

何故、モデルの道に進まなかったのかと思う。
どこかの雑誌に載ってるでしょっ、てくらいの風貌の彼が管理部に来ると、女性陣が一旦顔を上げる。
目の保養と言われる世に言うイケメンである。

「牧瀬、眉間にしわ寄って顔、怖いんだけど」
「うるさいわねっ!決算で集中してるんだから。もー秋月くんの相手してられないの。そんなこと言うと、仮払いしないわよ」
「これでも牧瀬より年上だぞ。ちょっとは敬ってだなぁ」
「何で私が秋月くんを?歳上でも同期は同期。早く伝票貸しなさいっ」
私は素っ気ない態度で背を向けて部屋の奥にある金庫へ向かって行った。

入れ替わりに笑いながら笹田さんが秋月くんに声をかけた。
「秋月くん、お疲れ様。今から九州出張なんだよね?」
「笹田さん、お疲れ様です。はいっ、藤堂さんともうすぐ出かけます。笹田さん、寂しいですか?」
秋月くんは笹田さんに、優しく微笑みながら話かけた。
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