年上同期から恋人へのロード
私、牧瀬沙羅24歳は大学を卒業後、機械部品販売会社「P&Q商事」に就職し、希望通り、本社勤務として管理部に配属され3年目になる。

P&Qは、Peace(平和)とQuality(品質)からきたらしい。
その名の通り、品質にこだわる取引先を選定しているため、営業部は品質が良い製品があると聞けば、全国を駆け巡る。

社長の「もの造りの技術の素晴らしさを繋げたい」
その気持ちに感銘を受けて、支えになりたいと入社を決めた。

実家から通えない距離ではなかったものの、夜帰るのが遅くなる時もあり、1人暮らしを始めた。

私は小さい頃は背が高く、いつも1番後ろ。小学6年生で今と変わらず160cm。
そのせいもあってか、しっかり者と思われていた私は、困ったことがあれば頼られることが多かった。

小さい頃は活発で年上っぽく見えたのだろう。男の子に泣かされそうな女の子が背中に回って、私を盾にしていた。
そのせいか甘えたくても、私が何とかしなきゃとか、弱音を言うことが、わがまま言っているんじゃないかと考えてしまうようになった。
甘えたくても、つい強がってしまう。

「牧瀬さんはしっかり者だね」
褒め言葉のように声を掛けてくれるのが、より私の鎧となっていく。
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