年上同期から恋人へのロード
「だって、私いつも先輩に憎まれ口叩くし、先輩の周りには可愛い女子たくさんいるのに」
私がそういうと、先輩は私にゆっくり近づいて優しく語りかけた。

「牧瀬は可愛いよ。それに俺ね、牧瀬は俺に飾りっ気無く話してくれるだろ?気兼ねなく話せて、俺らしくできて楽だったよ。」
そういうと、笑顔ではなくなり、真剣な眼差しになった。

「実は俺ね、京都の大学を受験するんだ」
「京都ですか・・・」
先輩は申し訳なさそうに、ゆっくりうなずき話を続けた。

「居残って勉強した帰りにね、いつも廊下で少し部活の様子を見ていた。俺、いつも牧瀬を目で追いかけていたよ」
先輩は真剣な眼差しでじっと私を見つめて、

「今日部活していた頃のこと思い出してた。俺、牧瀬と話してた時は、素の自分だったなって。で、今日牧瀬が、懸命にサポートして、他の奴と仲良くしてるの見てたら、自分だけを見て欲しいって気持ちになって。」
そう言いながら先輩は私の手を取った。

「ただ、志望校の合格ラインまで足りてなくて、これから毎日勉強漬けじゃないと受からない。告白して何だけど、なかなか会えないし、連絡もできないかもしれない。でも、牧瀬が他の男と付き合うってこと考えると嫌なんだ、ごめん、勝手で」
私の握った手を見つめながら悲しそうな目で話し、ゆっくり顔を上げ私の目を捉えた。
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