凍りついた愛
 寝起きとは思えないくらい、爽馬は勢いよく起き上がった。

「爽馬!?」

「ごめん! なずな!」

 今まで見たことがない彼に、戸惑いを隠せなかった。

 自分は浮気をしていないことを強く言って、ベッドの上においていたスマートフォンを手に取った。

 スマートフォンを操作すると、『みより』と名前が出てきた。

「みより?」

「俺の妹の名前」

 その言葉に驚き、画面から爽馬に顔を向けた。

「前から友達と喧嘩して関係が悪くなってて、その相談を受けていたんだ」

 だけど、友達とやっと仲直りすることができたことを電話で聞いた。

「ごめん。こんなことになってしまって・・・・・・」

 浮気だと誤解させて、嫌な思いをさせてしまったと爽馬は再度謝った。

「そんな、それじゃあ・・・・・・」

 自分の姉と浮気していたと誤解していた。

 少し前まで別の男性と一緒にいたことを思い出し、一気に顔が青くなった。

 爽馬は全身を震わせて泣いているなずなに近づき、そっと抱きしめた。
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