凍りついた愛
 話しかけても上の空だったり、急にデートの回数が減ったり、誰かと電話をすることが多くなった。

 まさか旅行の間に浮気していることを知るなんて思わなかった。

「俺もここ最近いろいろあった・・・・・・」

「紫苑さんも?」

「あぁ・・・・・・」

 予想外の人物が来たことにも正直驚いたことを言われた。

「幸運なんだか不幸なんだか・・・・・・」

 言っている意味がわからず、首を僅かに傾げた。

 左右に揺れているなずなが持っているグラスを落としてしまいそうなので、紫苑はそれをテーブルの上に置いた。

 自分のスパークリングワインも飲み干して、なずなに近寄り、手を掴んで立ち上がらせた。

「何っ・・・・・・」

「こっち見て、なずな」

 初めて名前を呼ばれて驚いて顔を上げると、紫苑との距離が縮まった。

 キスされたことに驚きを隠さず、彼の胸を押して一歩後ろに下がった。

「どうして・・・・・・」

 彼が何を考えているのかわからず、混乱する。
< 9 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop