田舎猫と都会猫、のはなし。

赤いソファにマダムは横たわり、
グラスの液体を片手で
くゆらせながら、言った。

「お店で未成年を働かせたって知れたら、うち(のお店)もアウトでしょ。

とりあえず服だけ着せて、
その気分だけ、味わわせてあげなさい。

あの子には、実際にはお店には出てもらわないし、お給料を払わないから。
実際には、ここにはいない、てこと。
軽い裏方か事務仕事でも、手伝わせてあげたら。

頃合いが来たら、ちゃんと、ね。
いい素材がきたと、思ってるわ。

それまでは、あなたはあの子の保護者なの。貴方にお給料上乗せする分、ちゃんと子猫ちゃんの面倒を見て育てるのよ。拾ってきたのは貴方なんだからね。」

「マダムの仰せのままに。」

「イイコね。ちゃんとできたら、うんとご褒美あげるから。」

「あぁ…。」

かの細い指先には
誰も抵抗できなかった。

持っていたグラスを俺の唇に触れさせると、中の液体の熱い感覚が喉元を通りすぎる。

マダム、あなたは…

唇が、軽く耳元に触れる。

「これが小猫ちゃんの荷物よ。
あなたに預けるから。しっかり面倒見るのね。」


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