今日も彼女に振り回されてる。
「ふふ、仲良くね。康太くんばいばーい」
そう言って俺の言い訳を聞くでもなく、爽やかに部活に行ってしまう女子。
李衣に"こーたろ"とか呼ばれているが、俺の名前は康太。
"ろ"は付属品だ。
李衣曰く、こーたろのほうが可愛いからとのこと。
なんか〇〇めろ、とか〇〇たそ、とかよく聞く若い子のノリなんだろうな。
「お迎えご苦労。行こっか」
「うん!李衣ね、この間コンビニで見つけた新発売のキャラメルのやつがいい」
もう何を食うのかも決めているようだ。
今回は一緒に飲食店に行くよりは安上がりだ。
心の中で胸をホッと撫で下ろす。
しかし女子って生き物はなんでこんなに甘いものが好きなんだろう。
あと新商品に弱いのも。
俺はどちらかと言うと決まった美味しいと思ったものをとことん食べ続けていたいタイプだから、いまいち李衣の気持ちが理解できない。