黒王子からの甘すぎる溺愛
ピタリと時が止まったような空間を見渡す。


ぐるっと2階席へ視線を向けたとき。


1人、階段のところに立っている人がいた。


…っヒ、ナ。


その瞳は俺をジッと見つめていて、今にも消えそうな感じだった。


俺はそんなヒナを引き止めようと、どんどん上へと上がっていく。


きゃ〜!と高い声を出して触れてくる人たちに振り向きもせずに。


「…ヒナ」


やっと見つけた。


ヒナは今にも泣きそうな表情で、俺まで目が潤む。
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