一番好きなのは、キミだから
Sweet*3
◇ライバルと対面
「スミくんーっ!」
真宙くんと中条さんが、ケーキ屋さんに来たあの日から、数日後。
学校の休み時間。
窓際で一之瀬くんと話している真宙くんのもとに、中条さんがやって来た。
「スミくんこれ、どうもありがとう」
どうやら、借りていた古典の教科書を真宙くんに返しにきたらしい。
彼女を見ていてあたしは、忘れ物が多い人……という印象をもった。
でも、もしかしてわざとなのでは? と思ってしまう。
なぜなら、中条さんはここ最近、前にも増して真宙くんに教科書を借りに来ているから。
週に数回は、必ず。
おとといだって、生物の教科書を真宙くんに貸してもらっていた。
「うわっ! ちょっ……中条! 人の教科書に、落書きすんなっての! 何だよ、このハートマークは」
真宙くんが教科書を見て、目を丸くする。
どうやら中条さんに、教科書の裏表紙にハートマークを書かれたみたい。
「いや〜、そのハートを見る度に、スミくんがわたしのことを思い出してくれたら良いなぁ……なーんて」
え!?
「はぁ? つーか、中条も小学生じゃないんだから落書きなんて……」
「あはは、ごめんね? お詫びにこれあげるから、許して?」