一番好きなのは、キミだから
「じゃあね! スミくん、一之瀬くん」
……あれ? 今、中条さんが教室を出て行くときに、チラッとあたしのほうを見てた?
そんな気がした。
「七星のココアクッキー、美味しそう」
みっちゃんが、褒めてくれる。
「ふふ、ありがとう。
あ! 何ならみっちゃんも今度、一之瀬くんにクッキー作る? 良ければ、作り方教えようか?」
「え!? いやっ、私は……」
あたふたと、焦るみっちゃん。
もし、みっちゃんが手作りお菓子を渡したら……。一之瀬くん、大喜びしそうだけどなぁ。
あたしはクッキーの入った、赤のリボンで結んでいる透明の袋を見つめる。