一番好きなのは、キミだから



「わたしは中学の頃からずっと、スミくんが好きだから。くれぐれも、わたしの邪魔だけはしないでね?」


耳に、彼女の息がかかる。


「……その言葉。そっくりそのまま、あたしも中条さんに返すから」


「はあ? あなたがスミくんを好きになったのなんて、どうせまだ最近でしょう? こっちはもう3年、スミくんを想ってるんだから。一緒にしないでくれる?」


そんなの、人を『好き』って気持ちに年数なんて関係ない。


長く想ってるからって、偉いとかそういうわけじゃないと思う。


ただあたしが、真宙くんと出会うのが中条さんよりも遅かっただけ。


あたしは、拳をギュッと強く握りしめる。


「恋は、年数じゃない。あたしが真宙くんを好きって気持ちは、中条さんにも負けないんだから!!」



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