一番好きなのは、キミだから
つい大声で、叫ぶように言ってしまった。
中条さんが、大きな目を何度もパチパチとさせている。
「……へぇーっ。あなた、意外と言うじゃない」
「……え?」
「新川さん、ふわふわした見た目だから。
おとなしく、言い返したりなんてしないのかと思っていたから」
ふふふ、と笑う中条さん。
「ごめんね? 意地悪なこと言って。
あなたを……試すようなマネをして。
わたし、新川さんがどんな子なのかずっと気になっていたから」
「あ、ううん」
「新川さんみたいにハッキリとモノを言う子、わたし好きよ? あなたのこと、見直したわ」
中条さんが、あたしに手を差しだす。
「スミくんが好き同士、お互い頑張ろう?」
手、握るほうが良いのかな?
「……そっ、そうだね。頑張ろう」
一瞬迷ったものの、あたしは中条さんとギュッと握手した。
「この前のチョコレートケーキも、美味しかった。新川さん、あそこでのバイトは長いの?」
「えっと、夏休みで1年になるかな」
「へぇー。やっぱり新川さんも、甘いもの好きなの?」
「うん。大好き」
……あ、あれ?
さっきまでとは打って変わって、あたし中条さんと普通に会話してる……?