一番好きなのは、キミだから
そもそもどうして今あたしは、こんなことに……?
うつむき、地面を見つめながらふと思う。
またもや頬を伝った涙が、地面をぽたぽた濡らす。
クッキー、せっかく昨日焼いたのに……
割れちゃって悔しい。作りなおさなきゃ。
しかもさっきはいきなり、女の子に押しのけられて。
さすがにひどくない? 思い返したら、ものすごく腹立たしい。
あたしを押しのけた人は『真宙くーん』と猫なで声で言って、走っていった。
そんな人にだけは、絶対に負けたくない。
だからあたしも、真宙くんにアプローチしなくちゃ。今は、泣いている場合じゃない。
早く起き上がって、クッキーは渡せなくてもせめて、真宙くんのもとに行かなくちゃ……!
というよりも、あたしが行きたいから。
そう思いあたしが、立ち上がろうとしたとき。
「……大丈夫?」