一番好きなのは、キミだから



目の前に、スっと手が差し伸べられた。


あ……。


「七星ちゃん」


目の前には、今いちばん会いたかった人。


「真宙、くん……」


真宙くんがあたしの手をとり、立ち上がらせてくれた。

そして、あたしの膝についていた砂まで払ってくれた。


「どうして?」


女の子に囲まれてたんじゃ……?


「七星ちゃんが来てくれてるの、分かってたし。それに、キミが転んだのが見えて……。
膝、痛む?」


真宙くんがしゃがみこんで、あたしの膝を優しく撫でる。


「少しだけ……だから。大丈夫だよ」

「転んだのって、誰かに……押されたの?」


「えっ……と」


「……さすがにひどいな」


真宙くんがボソッと、いつもよりも低い声で言った、と思ったら。



< 127 / 248 >

この作品をシェア

pagetop