一番好きなのは、キミだから
目の前に、スっと手が差し伸べられた。
あ……。
「七星ちゃん」
目の前には、今いちばん会いたかった人。
「真宙、くん……」
真宙くんがあたしの手をとり、立ち上がらせてくれた。
そして、あたしの膝についていた砂まで払ってくれた。
「どうして?」
女の子に囲まれてたんじゃ……?
「七星ちゃんが来てくれてるの、分かってたし。それに、キミが転んだのが見えて……。
膝、痛む?」
真宙くんがしゃがみこんで、あたしの膝を優しく撫でる。
「少しだけ……だから。大丈夫だよ」
「転んだのって、誰かに……押されたの?」
「えっ……と」
「……さすがにひどいな」
真宙くんがボソッと、いつもよりも低い声で言った、と思ったら。