一番好きなのは、キミだから
「……真宙くん?」
「七星ちゃんのクッキー、俺にちょうだい?」
「いや、でも。これ、割れちゃってるよ?」
「そんなの関係ないよ。七星ちゃんが俺のために、一生懸命作ってくれたんでしょ?」
そうだけど……。
あたしは、肯定するように首を縦にふる。
「俺は、七星ちゃんのその気持ちが嬉しい。
だから、それ欲しいなぁ」
真宙くんが少し屈んで、あたしと彼の目が合った。
「……ダメ?」
真宙くんに、首を傾げられる。
うっ。目の前で、そんな可愛い仕草をされたら……無理。
「ダッ、ダメじゃないよ。元々は真宙くんのために焼いたクッキーだから。受け取ってもらえるほうが、嬉しい。どっ、どうぞ!!」