一番好きなのは、キミだから
あたしは、石につまずいて転びそうになる。
「危ないっ!」
転びかけた身体を、前方からしっかりとした腕が支えてくれた。
「七星ちゃん、大丈夫?!」
真宙くんが、あたしの顔を心配そうに覗き込む。
あたしが顔を上げると、互いの目と目がパチッと合って胸が跳ねた。
「うっ、うん。だい、じょう……ぶ」
って、ちょっと待って!
今のこの状況。
真宙くんに、抱きしめられてるみたいになってるんだけど。
「はぁ、間に合って良かった」
真宙くんが、あたしを更に自分のほうへと抱き寄せる。
「キミが転ばなくて良かった。俺が早く歩きすぎたせいで……ごめん」
きゃ〜。ちっ、近い。近すぎる!
真宙くんに前に一度、歩道を走っていた自転車と接触しないように横から抱き寄せられたことはあったけど。
こんなふうに真正面から、抱きしめられるのは初めてで。
どっ、どうしよう。
さっきからドキドキしすぎて、このままじゃあたしの心臓がもたないよーっ。