一番好きなのは、キミだから



真宙くんとふたり並んでベンチに座りながら、ザーザーと降り続ける雨を見つめる。


「ねぇ、七星ちゃん。髪が濡れてる」

「え?」


真宙くんがスポーツバッグからタオルを取り出し、あたしの前髪をそっと拭いてくれる。


「部活用にいつも持ってるタオル。今日は使ってないから」

「あっ、ありがとう」


真宙くんだって、あたしと同じように濡れているのに。


自分よりもあたしを優先して、髪を拭いてくれるなんて……優しい。


雨に濡れた真宙くん。


髪の毛が濡れている姿は、なんだかいつもよりも色っぽく見えるような……?


普段なかなか見られないから、かなりレアだなぁ……って!


こんなときに何を考えてるのあたし。



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