一番好きなのは、キミだから
今は5月下旬ということもあり、最近は夏みたいに暑い日が続いていたから。
上服は、ブラウスとベストだけで登校してきていたあたし。
こんなことなら、今日ブレザー着てくれば良かったなぁ。
あたしが、ぶるっと身震いしていると。
「七星ちゃん」
真宙くんがスポーツバッグの中から冬物の黒のカーディガンを取り出し、あたしの肩にかけてくれた。
「それ、良かったら着て?」
「え?」
「しばらく学校に置きっぱなしになってたやつで悪いけど。それなら、濡れてないし」
「いいの? でも、悪いよ」
真宙くんだって、あたしと同じように寒いはずなのに。
「俺は、ブレザー着てるから。七星ちゃんは、女の子なんだし。身体冷やしちゃダメだよ」