一番好きなのは、キミだから



「あたしのことが……?」


「……ううん、なんでもない」


雪乃ちゃんは、あたしからふいっと顔を逸らした。


雪乃ちゃん、今なんて言おうとしたのかな?


「あ、そうそう。今日はわたし、スミくんにスコーン焼いてきたんだ」


「わぁ、美味しそう」


雪乃ちゃんがあたしにニコニコと見せてくれた透明の袋の中には、プレーンやチョコチップのスコーンが。


ーーゴクリ。


とても美味しそうで、思わず唾を飲み込んだ。


「あと……今日は、七ちゃんの分のスコーンも持ってきたんだ」


「え!?」


「はい、あげる! 良かったら、食べて?」


「あっ、ありがとう……」


予想外のスコーンは、すごく嬉しいけど……


雪乃ちゃんに、話を逸らされちゃったな。


さっき何を話そうとしていたのか、すごく気になるけど……。


ここは、これ以上何も聞かないほうがきっと良い。


でも、やっぱりこれだけは……。



< 158 / 248 >

この作品をシェア

pagetop