一番好きなのは、キミだから
「あたしのことが……?」
「……ううん、なんでもない」
雪乃ちゃんは、あたしからふいっと顔を逸らした。
雪乃ちゃん、今なんて言おうとしたのかな?
「あ、そうそう。今日はわたし、スミくんにスコーン焼いてきたんだ」
「わぁ、美味しそう」
雪乃ちゃんがあたしにニコニコと見せてくれた透明の袋の中には、プレーンやチョコチップのスコーンが。
ーーゴクリ。
とても美味しそうで、思わず唾を飲み込んだ。
「あと……今日は、七ちゃんの分のスコーンも持ってきたんだ」
「え!?」
「はい、あげる! 良かったら、食べて?」
「あっ、ありがとう……」
予想外のスコーンは、すごく嬉しいけど……
雪乃ちゃんに、話を逸らされちゃったな。
さっき何を話そうとしていたのか、すごく気になるけど……。
ここは、これ以上何も聞かないほうがきっと良い。
でも、やっぱりこれだけは……。