一番好きなのは、キミだから



ぐ〜っ。


まるであたしの気持ちに返事するかのように、お腹が小さく鳴った。


そういえば今朝は食欲がなくて、朝ご飯を食べてこなかったな。


ふとスクールバッグの中を見ると、昨日雪乃ちゃんからもらったスコーンの入った袋がそのままになっていた。


三角の形をした、プレーンとチョコチップのスコーンはとても美味しそうで。


食欲をそそられる。


空腹の今、あたしは素直にそれを食べたいと思った。


今は朝のホームルーム前。これから授業をいくつも受けなきゃならないし、少しでもお腹を満たしておいたほうが良いよね。


朝登校してきて早々に、教室でお菓子を食べていてクラスメイトに何か思われるよりも、授業中にお腹が鳴って周りに聞こえてしまうほうが恥ずかしいし。


そう思ったあたしは席に着くと袋を開け、雪乃ちゃんの手作りスコーンをそっと口に運ぶ。


んーっ。このチョコチップのスコーン、外はサクッとしているのに、中はしっとりとしていて美味しい。


いつもより気分が沈んでしまっているときでも、美味しいものを食べると元気が出る。


ちょっとした気分転換にもなるし、お菓子のパワーってやっぱり凄い。


「ねぇ、七星ちゃん」



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