一番好きなのは、キミだから



あたしが2個目のスコーンを手にしたとき、後ろから真宙くんに声をかけられた。


「幸せそうな顔して何食べてるの? あ、それってもしかして、昨日中条がくれたスコーン?」

「うん」

「俺も昨日食べたけど、それ美味いよなぁ」


そっか。真宙くんも、雪乃ちゃんからもらって食べたんだ。


「真宙くんも……良かったら食べる?」


恋のライバルでもある雪乃ちゃんが作ったお菓子を、真宙くんにすすめるのはどうかと自分でも一瞬思ったけど。


美味しいものは、素直に誰かと共有したかった。


「え、もらって良いの? ありがと。それじゃあ、いただきます……うん、何度食べても美味い」


スコーンを食べた真宙くんが、弾けるような笑顔になる。


お菓子とか甘いものを食べてるときの真宙くんって、ほんと良い顔するなぁ。


美味しいって真宙くんに言ってもらえて良かったね、雪乃ちゃん。



「あっ! ねぇ、七星ちゃん。ちょっとそのままじっとしてて?」


そう言うと、真宙くんの整った顔があたしのほうへとだんだん近づいてくる。


えっ。まっ、真宙くん?!



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