一番好きなのは、キミだから
……え?
うそ。今……真宙くんが、雪乃ちゃんのことを『好き』って言った!?
ていうか今日は、雪乃ちゃんが真宙くんに告白するんじゃなかったの!?
なんで!? と疑問に思いながらも、目の前の光景に釘付けになってしまうあたし。
「だから……俺と……つ、付き合ってくださいっ!」
真宙くんが雪乃ちゃんに叫ぶように言い、頭を下げた。
「……っ」
雪乃ちゃんと真宙くんが……両想い。
前に言ってた、真宙くんの『な』から始まる名前の好きな人って……やっぱり中条さん。
雪乃ちゃん、だったんだ。
以前真宙くんに『特別な存在』って言ってもらったことがあったけど……好きな人があたしっていう意味じゃなかったんだな。
そっか。そうだったんだ。
雪乃ちゃん……真宙くんと両想いになれたんだね。
「良かっ……た」
友達の数年間の片想いが成就して、良かったと思うのに。
すごく、喜ばしいことなのに。
徐々に視界が滲んできたあたしは、急いでその場から駆け出した。